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時流と特質の幸福ながっぷり四つ/UVERworld『TYCOON』

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  2017年に入ってから衝撃を受けたトピックの1つに、Drake『More Life』の存在がある。アルバムっぽく見える楽曲集を「プレイリスト」と位置付けていたからだ。なるほど、統一感のなさ故に「アルバム」とは言わなかったのだと聴けばわかる。確かに客演ミュージシャンがメインの楽曲が多く、ジャンルもトロピカル・ハウス、グライム、トラップなどトレンドを幅広く取り入れていた。しかしとにかく、1ミュージシャンの楽曲集が「プレイリスト」と呼ばれること自体に驚いた。ただ、楽曲間の節操のなさにはなんとも思わなかった。この感じを自分はよく知っている。

 ところで、UVERworldというバンドは新しいものが好きだ。3D技術を用いたMV、ダブルラインアレイスピーカー、ザイロバンド。これらは全て、彼らが日本で初めて導入したものだ。彼らはその時々の最新技術をいち早く持ち込み、表現活動に広がりを持たせてきた。その節操のなさが注目を集めたことは間違いない。また、楽曲に関してもごった煮感は顕著で、特に凄かったのは前々作『THE ONE』。トライバルなリズムを導入したり、およそバンドでは使用しない楽器(リコーダー!)を持ち込んだりしたことで曲のレンジを以前とは比べ物にならないほど広げた。さきほど筆者が「この感じを自分はよく知っている」と書いたのはこのため。しかし、時流とのシンクロ率は高くなかった。あくまでUVERworldの音楽の根底にはパンクやミクスチャーなどの「バンド音楽」があり、そこから外れることはなかったからだ。

 では『TYCOON』はどうか。今作は、1枚の中に様々な音楽ジャンルを取り入れる海外の風潮とUVERworldが元々持っているミーハー気質が、音楽面で初めて合致した作品だ。今まではバンド音楽の上に異なる要素を乗せていたが、今作は非バンド音楽をバンドで鳴らす、という方向にシフトしている。楽曲のバラエティさは今も昔も変わらないが、EDMやR&B、ヒップホップなどの非バンド音楽に意識的に取り組むことで、バラエティさが世界のそれと同質になった。白眉はM4〜M5。揺らぎのあるビートにはアンビエント、よく通る裏声と伸びやかなメロディには直近の宇多田ヒカルの影が見えるM4。拍を強調したR&Bなリズムにフュージョン的なベースが乗るM5。前作から3年という期間を経て、バンド音楽や「邦ロック」と向き合うだけでは生まれなかったであろう要素が数多く花開いている。

 彼らがここまで海の向こうの音楽を取り入れたことは今までなかった。従ってディスコグラフィ上、変化球な作品ではあるだろう。だがその結果『TYCOON』は2017年的な、あまりに2017年的なアルバムになった。ミーハーな彼らのことだ、今の方向性が維持されるかはわからない。ただ今は、世界の流れとバンドの気質がしっかり手を結んだ、その事実を祝福したい。あえて言おう、今こそUVERworldの時代であると。