まっつのブログって名前、氾濫しすぎだろ!

いやマジでそう思いません?

Best Albums of 2018

f:id:HugAllMyF0128:20181231151621j:image

 

 2018年が終わるその日に、アルバムランキングを公開いたします。

 

 音楽を聴く手段がほぼApple Musicのみになって数年経ちますが、2018年はその中で最もランキングを作るのに苦労した年と言えるな〜、というのが今の気持ちです。楽曲単位なら光るもの、推したいものが比較的すぐ見つかるんですが、アルバム単位となるとなかなかそうもいかなかったように思います。なんなら12月31日現在まで粘ってランキングいじってるくらいです。ただ、音楽を聴く行為自体は相変わらず楽しかったです。
 もう1点自分のランキングを見ていて思うのは、例年と比べて今年は比較的海外の作品が多くランクインしている、ということでしょうか。今年は就職活動をはじめ色々と考えることの多い1年だったので、その思考を邪魔しない「母国語以外の言語」は耳馴染みがよかったのかもしれません。
 
 さて、このランキングは『アルバム単位で良い曲が多かったもの、また通して聴きたいと思えるもの』を選んでいます。今年発表されたEP、アルバムの中から30枚をカウントダウン形式で並べていますよ〜。Apple Musicにある盤に関してはリンクも付けました。今年も200枚以上は聴いたでしょうか。記録をサボっていたので正確な枚数がわからないのが悔やまれるところ。2019年以降は改善します。あ、例年はランキングの後にも軽く総括的に文章を置いていたんですが、今年はなし。1位を見て、スパッと終わり!って感じになってます。
 前置きが長くなってしまいました。本当よくないですね。さあ、少しスクロールした先に30枚ご用意しました。おもしろかったので、おもしろがってください。
 それではよいお年を!そして、いつか未来で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30:Joji『BALLADS 1』

f:id:HugAllMyF0128:20181231150623j:image

 大阪出身、ニューヨーク在住のオーストラリア系日本人シンガーによる初のフルアルバム。
 もともとは別名義でYouTuberをしたり、コメディ色の強いアルバムをリリースしたりしていたそう。その傍らSoundcloudにアップしたJoji名義の音源がアジアのメディア・プラットフォームである88risingに発見されたことで脚光を浴び、2017年以後は音楽活動に専念。
 別名義で活動していたときのアルバムから何曲か耳にしていたけど、それとは全く毛色が違う。このアルバムにはゲスい下ネタでウケを狙うコメディアンはどこにもいない。重たいビートと生死の境が揺らぐメロウな歌声、孤独だとか死だとか、言葉に出せば陳腐だけど切実なトピックばかりが並んでいる。こうしたアルバムのテイストやその多才さから、僕はどうしても星野源および『POP VIRUS』に込められた諸々を思い起こさずにはいられない。いつも明るい人間がいつも明るいワケないだろう。

  

 

29:Wye Oak『The Louder I Call, The Faster It Runs』

f:id:HugAllMyF0128:20181231150523j:image

 アメリカ、バルチモア出身の2人組による、1年10ヶ月ぶり6枚目のフルアルバム。
 もともとはオーガニックなフォーク〜インディロックサウンドを奏でていた彼ら。ところが前々作『Shriek』あたりからシンセサイザーを用いるようになり、今作ではそれを大々的にフィーチャー、エレクトロポップと呼んで差し支えない楽曲が並んでいます。また、タイトなリズムや随所に挿入される同様のフレーズからも、よりダンサブルな方向性に舵を切りたかったんだろうな、といったことが伺えます。1音を目一杯伸ばしてスペイシーな広がりを演出するシンセサイザーと、それと反するように細かく刻まれるハイハットのループがなんとも言えない恍惚を生むM2が何より好きです。Los Campesinos!やPassion Pitなどのキラキラ感が好きな自分はこういうの弱いんですよね。この路線でもう何枚か新作を!

  

 

28:Czecho No Republic『旅に出る準備』

f:id:HugAllMyF0128:20181231150150j:image

 2010年結成の5人組による、1年8ヶ月ぶり7枚目のフルアルバム。
 アルバムタイトルを初めて日本語にした彼ら。タイトル同様、歌詞もセンチメンタルかつエモーショナルだ。内容はその多くが大切な人との別れとその先のお互いの未来を描いたもの。永遠の不在を時の流れとともに知ってしまった、そんな、1つ大人の階段を上るまでの道のりを終わりまで描いていく。〈悲しい事 言わないでよ/悲しい事 ばっかりでも〉と歌うM3を筆頭に、歌詞の後味はどれも少し悪い。だけど一貫してアッパーな曲調のおかげで、聴き終わった後にはどこか爽快感がある。
 聴いた最初はやたら一貫したメッセージを発しているなぁと思ったのだけど、本作発売の約3週間後にメンバーの1人が脱退を発表したことで、別の意味でこの作品の意義が浮かび上がってしまった。本作は去り行く戦友とこれからも進んでいくであろう自分達への餞に、結果的になってしまったのだ。

  

 

27:SKY-HI『JAPRISON』

f:id:HugAllMyF0128:20181231145819j:image

 千葉県出身のラッパーによる、1年11ヶ月ぶり4枚目のフルアルバム。
 陰と陽、主観と客観、禁欲と性愛、ジャズとトラップ、「JAPAN+PRISON」と「Japanese rap is on」……本作をめぐる諸要素は散在、混在している。その様相は現代社会そのものだ。いや、なにも社会に限らない。個人すら断片の集合体に過ぎないことはミックステープやプレイリストなど、ここ数年のヒップホップをめぐる潮流からもわかりきっている。
 今作はSKY-HI自身がそうした傾向に対して開き直ったアルバムと言える。ポップにもドープにも振り切らず綯い交ぜなままなのは、自身がさまざまなシーンで出会った人達、その1人1人を見離さずまとめて未来へ連れて行き、新しい景色を見せるためだ。だから本作はきっと「本当の自分はどこ?」なんて自分探しに迷い込むだけの奴らにも、夢中至上主義のエセ一神教信者にも届かない。本作は個々人がバラバラであることを自覚したまま理想を見つけ直す「新生」のためのアルバムであり、現代を生き抜くための冒険の書なのだから。

  

 

26:a flood of circlea flood of circle

f:id:HugAllMyF0128:20181231145625j:image

 2006年結成の4人組による、1年1ヶ月ぶり8枚目のフルアルバム。
 インディーズ時代まで含めれば、2度目のセルフタイトル。バンドのアイデンティティが込められていると解釈したくなる。ただこのバンド、現在に至るまで幾度もメンバーの脱退・加入が行われ、前作から見てもメンバーが1人増えている状態だ。
 そんな経緯と重なるように、本作からはロックンロールを様式美にしないという決意が顔を覗かせる。盟友・UNISON SQUARE GARDEN田淵智也がプロデュース(というよりほぼ作曲)を手がけた、やたらドラムの手数が多いM2。「海外ではトラップ全盛の今、日本のロックバンドはどう音を鳴らすか」という課題に真っ向から向き合うような譜割のM8。楽曲の方向性は異なるが、双方ともに「停滞なんてあってたまるか」という所信表明のようなメッセージを感じる。転がり続ける、それこそがこのバンドのアイデンティティなのだ。ラストトラックのM10、その最後のワンフレーズが〈Give me rolling stone〉にも聴こえるのは、きっと偶然じゃないはずなのだ。

  

 

25:BROCKHAMPTON『iridescence』

f:id:HugAllMyF0128:20190101233502p:plain

 ロサンゼルスに拠点を置く14人組ヒップホップクルーによる、9ヶ月ぶり4枚目のフルアルバム。
 Superorganism、88rising、BROCKHAMPTON。2018年に注目を集めた3組に共通するキーワードは「多様性」。人種や肩書きに縛られず交流し、数多くのアートフォームをその名のもとに統括している。BROCKHAMPTONはその中でも、リーダーのKevin Abstractがゲイを公表したり性的暴行を認めたメンバーを解雇したりとジェンダーをめぐる話題が多く取り上げられている。そのためか、前2組よりも状況論で語られることが多いように思う。
 では本作は実際のところどうなのか。「多様性」の笠を着た曖昧模糊な作品なのだろうか?答えはノーだ。10日間という期間とアビー・ロードスタジオがそうさせたのかもしれないが、ドラムンベースを基調としたトラックはどれもタイト。言いたいことを言ったら間髪入れず次に行く構成や「インターネット初のアメリカン・ボーイバンド」との自称からもビジョンの明確さが伺える。清くはないかもしれないが、自分なりの正しさを通すこと。彼らの主張は紛れもなく一貫している。

  

 

24:Perfume 『Future Pop』

f:id:HugAllMyF0128:20181231145535j:image

 広島出身の3人組による、2年4ヶ月ぶり7枚目のフルアルバム。
 前作『COSMIC EXPLORER』はEDMの影響を強く感じさせる、音の強弱や振り幅がはっきりした作品だった。あちこちへ振り回される感覚はそれこそ宇宙で引き摺り回されているようだったし、そのぶっ飛び具合が面白かった。そこへ行くと今作はちゃんと地に足が着いている。急激なドロップを伴う楽曲はタイトルトラックのM2程度。どの楽曲も比較的ヴォーカルに比重が置かれ切り貼りは少なめ、かつその多くが生声を主体としている。『Future Pop』という壮大なタイトルと相反するかのように、彼女たちのディスコグラフィ上でもかなり落ち着きのある部類の作品だ。
 ただ、よく考えればそれも当たり前かもしれない。チームPerfumeのテクノロジーは常に受け手を驚かせるが、ドローンを1から手作りするなど、そこには人の影がある。未来を作るのは人間で、それは現在の積み重ねでしかない。「ねーちゃん!あしたっていまさッ!」という台詞は、まさに今のPerfumeのためにある。

  

 

23:KID FRESINO『ai qing』

f:id:HugAllMyF0128:20181231144014j:image

 埼玉県出身のラッパーによる、3年2ヶ月ぶり3枚目のフルアルバム。
 本作はバンド形態による楽曲と自身のビートによる楽曲、トラックメイカーによる提供曲の3本柱で構成され、そのいずれにも緊張感がある。ギター、ベース、ドラムが各々の間隙を縫うようにせめぎ合い、そこにスティールパンの乱打が重なるM1がいきなりの白眉。各楽器によるストイックな鍔迫り合いで現出するのはむしろ、桃源郷と呼ぶべき空間だ。ギリギリの生は死を想起させる。こうしたシリアスなモードの背景には、KID FRESINOの幼なじみであるラッパー/プロデューサー/DJ、Febbの死が関連しているだろう。
 本作で彼はChance the Rapper『Coloring Book』とKendrick Lamar『Good Kid M.A.A.D City』を目指したらしいが、かと言ってトラップにもジャズ、ファンクなどの黒人音楽にも接近しなかった所に本気が伺える。本作には矢継ぎ早に作品をリリースしていた頃の適当さがない。死も生もきっちり昇華するために、彼は何かに寄りかかるのをやめたのだ。

  

 

22:TOTALFAT『Conscious+Practice』

f:id:HugAllMyF0128:20181231143851j:image

 2000年結成の4人組による、1年6ヶ月ぶり9枚目のフルアルバム。
 日本語詞・Shun作曲がメインだった前作『FAT』と対を成すように、本作は英詞・Kuboty作曲の楽曲を中心に据えている。特にメジャーデビュー以降、日本語でのメッセージの届け方に苦心していた印象のある彼ら。日本語詞という、言ってしまえば自らに課した枷のようなものを取り払った本作に、インディーズ時代からのリスナーとしては「待ってました」と快哉を叫びたい。英詞メインであることでキャッチーさが薄れるかと言えばそんなことはなく、むしろどの過去作よりも親しみやすさを覚える。長いキャリアの中でメロコアにおける緩急の付け方を心得たからこそのヌケの良さ、軽やかさ。収録時間もこれまでの作品の中で最もタイトで、焦点が絞られた作品であるとわかる。トロピカルなリズムでチルアウトさせるM8からのハードなM9、という流れが特に見事だ。軽いギアのまま最高速を出した本作のTOTALFATは相当強いぞ。

  

 

21:NORIKIYO『馬鹿と鋏と』

f:id:HugAllMyF0128:20181231143701j:image

 神奈川県出身のラッパーによる、1年6ヶ月ぶり8枚目のフルアルバム。
 一見刺々しいタイトルだが、楽曲には優しさを感じる作品。トラックにおいては、全13曲中6曲を担当するT-Jonesの作品がそれを特に感じさせる。ジャジーなM1やスムースなM10はサンプリングであっても各楽器の鳴りが非常にまろやかだ(生音を素材にしているかも)。
 歌詞においてもその方向性は変わらない。確かにM3〜M4に並ぶ単語は強い。しかしM4で客演するAK-69の〈他人じゃねえ自分の道を見ろ そこにゃきっと素晴らしい色〉というラインが示すように、それはあくまで聴き手を案じての言葉だ。本作に登場するどんな辛辣な歌詞も情けない場面も、最終的には〈お前の良いとこも探す それが俺の報復〉という結論に着地する。NORIKIYOは聴き手に対して上にも下にも立たない。隣のあんちゃんとして、愛ある一意見を述べている感じだ。ただ彼にはラップという〈鋏〉がある。さて、同じ市井に生きる私たちには何がある?

  

 

20:CHVRCHES『Love Is Dead』

f:id:HugAllMyF0128:20181231143613j:image

 グラスゴー出身の3人組による、2年8ヶ月ぶり3枚目のフルアルバム。
 「セ、セルアウト…?」そういった声が聞こえそうなほど、本作のサウンドは伸びやかだ。80'sシンセ・ポップを基調としていることに変わりはないが、音の強弱や抜き差しをよりはっきりさせたことで楽曲に物語性が生まれている。コーラスまでジリジリと焦らしながらスケール感を損なわないシンセ使いやEDM的なドロップが現代的なM6〜M7などはその最たるものだろう。総じて本作は、大規模なフェスやアリーナ/スタジアムクラスの会場を視野に入れたよりマス向けの音作りをしている。ただ、それだけで本作を「変化作」と片付けてしまうのはいささか短絡的ではないか。なぜなら彼女たちの作品には初期から「二面性」がテーマとして掲げられており、それは本作のタイトルにも顕著だからだ。本作はAdele、Siaを手がけたGreg KurstinやEd Sheeran “Shape Of You” を生んだSteve Macらプロデューサーの力も借りながら、LoveとDeadの両極を引き裂かれんばかりにまで押し広げた結果大衆化を果たしている。もうお分かりだろう、これは「正統進化作」だ。

  

 

19:Tom Misch『Geography』

f:id:HugAllMyF0128:20181231143445j:image

 サウスロンドン出身のシンガーソングライター/プロデューサーによる、初のフルアルバム。
 〈Art is a mirror of society, you know…〉の声で幕を開ける本作は心地良さがありながらどこか神経症的だ。それはM3における一定のリズムにきっちり合ったバイオリンや、M5で常に鳴る時計の針の音が感じさせるものだろう。本作からはR&B/ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ディスコ/ハウスなど様々なジャンルを感じるが、そのいずれもが「解放」とは真逆の厳格な規律によって成り立っている印象だ。さながら砂上の楼閣、もしくはささくれ立ったユートピア
 どうだろう、そんな情景はどこか現在のイギリスと重ならないだろうか。穏やかなメロディと歌詞を包むのは、これまたスムースながら何者かに駆り立てられているようなトラック。その切迫感と、ブレグジット目前というイギリスのシリアスな現状がダブる。Tom Misch本人が意図したかどうかはともかく、この絶妙なバランスおよび『Geography』というタイトルはあまりにも示唆的だし、2018年的だ。

  

 

18:Anderson. Paak『Oxnard』

f:id:HugAllMyF0128:20181231143125j:image

 カリフォルニア出身のミュージシャンによる、2年10ヶ月ぶり3枚目のフルアルバム。
 シンガーソングライター、ラッパー、ドラマー、ピアニスト……。あいつは何者だ?と問われたときに自信を持って「全てだ」と言えたのは前作『Malibu』まで。今回は「ラッパー、かな?」と首を傾げながら答えなければならないだろう。本作は歌よりもラップの比率が高く、トラックも『Malibu』でのピアノがもたらすサイケデリックさは整理され、 ファンク方面に舵が切られている。また、そのゲストの多さも「ヒップホップのアルバム」っぽさが強まった理由だろう。
 なぜここまで振り切った?答えはきっとそう難しくない。Anderson. Paakは正しくアメリカン・ドリームの体現者だ。ホームレスからスターダムへ。そのきっかけこそ、Dr. Dre『Compton』でのフックアップだった。本作で彼が活き活きとラップするのは自らを押し上げたカルチャーへの恩返しを果たすため、故郷=『Oxnard』に錦を飾るためではなかろうか。そう思わせるほど、本作はあらゆる面でゴージャスだ。

  

 

17:クラーク内藤『LINZINE 201809』

f:id:HugAllMyF0128:20181231142849j:image

 東京在住のミュージシャン/コラムニストによる初の「聴くファンジン」。1ヶ月限定でフリーダウンロードできた代物のため、現在は入手不可。
 ビートジャックしたトラックに、それとは全く別の曲から歌詞を持ってきて歌う。本作の取り組みを一言で表せばこうだ。ただそのセンスが素晴らしい。M1からPost Malone “Psycho” のトラックで埼玉県の民謡 “石投げ踊り” を歌っていて「意味がわからねぇ……」という気持ちに。クラーク内藤の歌声もどこか朴訥としていて可笑しみを掻き立てている。どの楽曲でも思いもよらない異種格闘技戦が展開され、いちいち面白い。
 アルバムを通して感じるのは、音楽そのものが持つパンク性だ。枠からはみ出した奴の持つ面白さを本作は照射している。だからこそラスト、繰り返される〈分断すんな〉の絶叫は切実だ。そう、これははみ出さなければ面白くなれなかった者の叫び。本人のブログによればリリースは「半年に1回くらいになる」との事。寸評執筆現在、2019年1月18日。第2弾は間もなくか?

 

16:Age Factory『GOLD』

f:id:HugAllMyF0128:20181231142747j:image

 奈良県出身の3人組による、2年ぶり2枚目のフルアルバム。
 閉じたまま爆発し続けるような、何も言わずに心を開かせるような、そんな非対称性を感じさせるアルバムだ。要因は様々ある。優しい言葉ほどシャウトし、強い言葉ほど穏やかに語りかける歌。1つ1つの音を粒立たせる録音と、そのそれぞれが程良く溶け合うように残響を残したミックス、マスタリングなど。しかし何より印象的なのは、スリーピースでアンサンブルを完結させることにこだわりつつコーラスの具体性を強めた点だろう。表題曲のM1やM7、M10などがその際たるもので、明確に大人数の合唱を見越したアンセムを作りに来ていることがわかる。そう、本作は「変わらないまま変わる」ことを選んだバンドが、その最初の1枚にして目標をほぼ全て達成した作品。あとは頂に登り、輝くメダルを掴むだけ。

  

 

15:CRZKNY『GVVVV』

f:id:HugAllMyF0128:20181231142429j:image

  

 

14:High Up『You Are Here』

f:id:HugAllMyF0128:20181231142004j:image

  

 

13:The Lemon Twigs『Go to School』

f:id:HugAllMyF0128:20181231170944j:image

  

 

12:SOPHIE『OIL OF EVERY PEARL'S UN-INSIDES』

f:id:HugAllMyF0128:20181231132348j:image

  

 

11:Red Velvet『Summer Magic』

f:id:HugAllMyF0128:20181231123449j:image

  

 

10:RIRI『RIRI』

f:id:HugAllMyF0128:20181231120507j:image

  

 

9:Wienners『TEN』

f:id:HugAllMyF0128:20181231134249j:image

  

 

8:Analogfish『Still Life』

f:id:HugAllMyF0128:20181231133652j:image

 1999年結成の3人組による、2年10ヶ月ぶり11枚目のフルアルバム。
 ポストロック〜マスロック的なストイシズム溢れるアンサンブルを得意とする下岡晃(Vo,Gt)と、爽やかなギターポップが十八番の佐々木健太郎(Vo,Ba)。それぞれ嗜好の異なる2人のソングライターが本作で共にブラックミュージックに接近したことは興味深い。ただ、歌詞を見てみるとそのアプローチにも納得がいく。前作『Almost A Rainbow』までが「動き出してみようぜ」と鼓舞する作品だとするなら本作はその真逆、「動きたくても動けない」抑圧された人達のための作品だ。そう考えると、完成までに過去最長のスパンを要したことを含めた全てが必然だったとわかる。つまり〈僕は今日も誰にもなれなかったよ〉〈この街は平和に見える〉と歌われる日本にとって「Hands Up, Don't Shoot」は対岸の火事じゃないってことだ。

  

 

7:国府達矢『ロックブッダ

f:id:HugAllMyF0128:20181231120447j:image

 京都府出身のミュージシャンによる、本人名義では15年ぶり2枚目のフルアルバム。
 仏教の重要な教えに「空」という概念がある。万物は相対的であるため、この世に絶対的・固定的実体というものは存在しない、とする考え方だ。 
 本作は「空」の概念を音楽で表現した作品だと感じた。ギターフレーズもコーラス含めたヴォイスも縦横無尽に飛び回り、それまで意識を集中させていた箇所とは異なる部分から現れ、消えていく。そう、本作のサウンドは右と左という固定的実体から解放されているのだ。
 『ロック転生』から15年。実際に製作を開始した2005年から数えても、彼は10年以上1枚のアルバムに取り組み続けたことになる。執着のない場所を描き切ることに執着した男の作品は奇妙な曼荼羅模様を描き、「ブッダの本質」と訳せる無音のトラックで終わる。本作を完成させるにあたり、国府達矢が意識したのはただ1つだろう。私も同じく祈りたい。〈あらゆる隔たりを超えてゆけ〉。

  

 

6:星野源『POP VIRUS』

f:id:HugAllMyF0128:20181231175535j:image

 

5:Panic! At The Disco『Pray For the Wicked』

f:id:HugAllMyF0128:20181231142102j:image

  

 

4:Tempalay『なんて素晴らしき世界』

f:id:HugAllMyF0128:20181231120645j:image

 2014年結成の3人組による、1年1ヶ月ぶりのリリースとなるミニアルバム。
 今やBTSのRMもお墨付き。彼らの音源にどうやってたどり着いたのかはわからないが、本作が過去最高に気持ちいいのは間違いない。ベースが脱退し、代わりにシンセサイザー奏者のAAAMYYYが正式加入。そのおかげか上音は鮮やかに彩りを増し、全体的にもサイケデリックで浮遊感たっぷりなサウンドに仕上がっている。ただし、浮かんだ先の眼差しは淀みや皮肉、逡巡まみれだ。
 今思ったんだけどこれってつまりはThe Doors『Strange Days』じゃない?〈クリーンな僕がどうかしてるよ〉と歌うM2なんてモロに “People Are Strange” じゃん!両者ともに、交錯する人生とそうでない人生のそれぞれにある可笑しみと孤独を冷笑ぎみに伝えている。「脱力系」?まさかね。本作は人類の誕生から滅亡までを描いた、狂気の一大民族史だ。

  

 

3:Showmore『overnight』

f:id:HugAllMyF0128:20181231120305j:image

  

 

2:Ariana Grande『Sweetener』

f:id:HugAllMyF0128:20181231132612j:image

  

 

1:XXXTentacion『?』

f:id:HugAllMyF0128:20181231132442j:image

 アメリカはフロリダ州出身のラッパーによる、初のフルアルバム。
 言うまでもないが「今」の積み重ねこそが時代であり、時代の積み重ねこそが歴史である。だとするならば、アルバム1枚に歴史的な要素を無理に積み込まなくても良いのかもしれない。
 本作には徹底して「今」が詰まっている。裏を返せば、ここには過去も未来もない。これまで見てきた光景もこれから訪れるであろう場面もトラップもグランジもフォークもフラメンコも無理くり「今」の中に押し込んでいる。他の視点なんて持とうともしていない。XXXTentacionは全てにリアルタイムで思いを馳せていた。「今」キマってたし「今」正気になるし「今」祈ってたし「今」殴ってるし「今」良くあろうとしたし「今」クソな気分になるし「今」俺は自殺したいし「今」あの子は自殺してしまったのだ。無軌道かつ近視眼的であることに開き直ってすらいるような本作は、紛れもなく時代そのものだ。できることなら彼にはこれからも「今」を積み重ねてほしかった。それができたはずだから。