ナードマグネット『透明になったあなたへ』

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曲数にもイントロの構成にも意味がある

 

 大阪出身の4ピースバンドによる、3年1ヶ月ぶり2枚目のフルアルバム。

 


 「それまでの “情けない恋愛ソング” みたいな流れは『MISS YOU』までで、いっぱい作った」と須田亮太(Vo&Gt.)がインタビューで語る通り、それまでの歌詞にあった恋愛要素や私小説的な視点は後退し、スクールカーストに代表される生き地獄を多彩な登場人物の目から描写した作りに。Black KidsのカヴァーにNirvanaを差し込んだM6からもわかる通り、曲調も一口にパワーポップとは呼べないものになっています。
 生きていれば誰しも経験する苦い思いが様々な視点から描かれる本作。その一つ一つはありふれている筈なのに、聴き終えた後にはどうしようもなく切ない余韻が残ります。それはきっと、小沢健二と『13の理由』を接続したラストトラックの終わりで主人公もまた死んでしまったように感じるから。突如途絶えるギターノイズの向こう、「大人になるくらいならいっそ……」と言わんばかりの投げやりさを聴き手に与える本作は「それでも生きていかなきゃいけないんだよ」と自らを奮い立たせていた前作のメッセージと綺麗に対を成しているなあと思いました。