Bon Iver『i,i』

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第1期の総決算にして、総動員作

 

 

 アメリカ、ウィスコンシン州出身のシンガーソングライターによる、2年11ヶ月ぶり4枚目のフルアルバム。


 プレスリリースではBon Iver本人が、本作含めた自身の作品全4枚を季節の流れになぞらえています。1stは心の張り詰めた冬の孤独を、2ndでは希望と活力溢れる春の訪れを、3rdでは焼け付くように気の狂った夏のエネルギーを。そして今作でサイクルが完結し、瞑想に耽るような染み入る秋を表現しているとのことです。そうした流れを踏まえると、サウンドの変遷にも納得ができます。
 前作『22, A Million』にあったエレクトロニカ由来のギラつきは少し後退。管楽器やピアノなどの生楽器がふくよかに鳴り、声のエフェクトも控えめで、歌声がドスンと真ん中に置かれたプロダクションへ。その中で紡がれるのは、ウィスコンシンというアメリカの田舎における保守的な人々や暮らしの姿と、そんな状況から一歩踏み出すことが本当に正しいのか?という逡巡。本作は、山小屋で1人音源制作に勤しんだ時期も、突然矢面に立たされ大衆と否が応でも対峙せねばならなかった時期も全て等しく自分なのである、という「どうあがいても私で私」な作品でしょう。