BROCKHAMPTON『GINGER』

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おもろうて、やがてかなしき

 

 

 アメリカ、ロサンゼルスを拠点に活動するヒップホップクルーの、11ヶ月ぶり5枚目のフルアルバム。


 サーモグラフィから抱擁へ。前作『iridescence』と今作のアートワークからは同じく『体温』というテーマを感じさせます。しかしその対象はガラッと変わったのではないでしょうか。交際相手や未成年のファンに対する性的虐待疑惑が持ち上がったAmeerを脱退させた後に生まれた前作が大衆の熱狂を求めた作品なら、今作で希求しているのはより身近な他者からの承認と言えるでしょう。ロンドンのAbbey Road Studioから地元にあるBROCKHAMPTON HOUSEへレコーディング環境を戻したこともその証左。他にも随所に前作からの反動が表れていると感じます。
 冒頭2曲のアコースティックギターが象徴的ですが、サウンドはこれまでより幾分オーガニックに。想い人からの電話を待つ中で〈Do you love me?〉と繰り返すM2のリリックからも、より直接的に体温を求める様子が痛いほど描写されます。一過性の喧騒ではなく、より確かなものを。今作は、仲間を失ったことにより今もなおぶり返す痛みが作らせた習作だと思います。