JPEGMAFIA『All My Heroes Are Cornballs』

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“Rock N Roll Is Dead”の先で

 

 

 アメリカ、ルイジアナ州出身のラッパーによる1年8ヶ月ぶり3枚目のフルアルバム。


 メロディアスかつダウンテンポな楽曲が多く、前作『Veteran』までのグリッチやボイスサンプルで隙間を埋め尽くすプロダクションから距離を置いた感のある本作。Devon Hendryx名義作品のLo-Fiヒップホップ的な感覚もあります。M4終盤からM5にかけての踊りながら階段を駆け上がるようなテンポとシンセのフレーズは特に心地よく、JPEGMAFIA作品史上最も聴きやすいのでは。
 しかし本作に「聴きやすい」という一言をただ放つのも躊躇してしまいます。というのも、M1冒頭や先述したM4のバックトラックで大半を占めるのが銃声のサンプリングであったりするから。中盤以降、ザラザラに潰れて引きずられたようなギターフレーズに軽快なハンドクラップが同居するM3含め、全体に感じられるのは安易な快楽や狂騒の否定。ブロック単位での気持ち良さはあるのに、快楽や狂騒はもちろんヒップホップの背骨であるはずの反復も否定され簡単に気持ちよくなれない。前作でロックンロールを殺したJPEGMAFIAは本作で(M7のタイトルよろしく)ラップを殺しにかかったのかもしれません。