the chef cooks me『Feeling』

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ある種のアンビエント

 

 

 下村亮介を中心としたバンドによる、6年1ヶ月ぶり4枚目のフルアルバム。


 「風邪でもスルッと聴けるわ」というのが最初の感想。私の場合は体調を崩したとき、好きな音楽ですら聴けなくなります。激しい曲調やメッセージ性の強い歌詞はこうしたとき特に煩わしく感じるので触れないようにするのですが(そうでなくても風邪を早急に治すに越したことはない)、本作にはその類の鬱陶しさがほとんどない。前作から大きく間が空いたにも関わらず、いやむしろそれだからこそ、本作に溢れる隙間や余白からは余裕が感じられます。
 曲調自体は、これまでの路線を踏襲したバンド主体のもの。しかしスクエアなリズムや文字通り "Feeling" 重視で聴き手の生活を邪魔しないリリックは本作独自の大きな特徴でしょう。ダイナミズムを廃したヒップホップ的なメロディがタイトなドラムとピアノに絡むM2が個人的なハイライト。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのカヴァーであるラストのみ若干祝祭ムードが増しますが、それもスパイス程度。何も考えたくないしノイズも入れたくない。そんな時でもメンタルを快方に向かわせてくれる作品。これ、音楽におけるある種の理想型なのでは……?