PETZ『COSMOS』

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とっくに壁はなくなった

 

 

 ヒップホップクルーYENTOWNのメンバーによる、ソロ名義では初のフルアルバム。


 一聴して「海外っぽい〜!」と感じてしまう私はきっと愚かなのでしょう。『フリースタイルダンジョン』に端を発する日本語ラップシーンの急速な盛り上がり。私もそこからヒップホップに親しむようになりましたが、MCバトルから人気に火が付いたミュージシャンのアルバムを聴くにつけ、総じてモワっとした湿度のようなものを感じていました。それが今作にはほとんどない。
 アルバム内の世界では奇しくも雨が降っていますがそのスタートとは裏腹に、アルバムはサウンドと単語の絡め方から人選に至るまでとても風通しが良い印象。〈Come Clean〉〈Bitch〉といったオーセンティックな単語を現行シーンのビートで結ぶM4や、Higher BrothersのMaSiWeiとAwichを迎えて日本語・中国語・英語を交錯させたM5はその最たるもの。イントロで降っていた雨はより閉じていくこの国への不安とも、そんな現状への皮肉とも取れます。本当は国にも音にも言葉にもアクセス可能な時代にも、とっくに壁などなくなっている。このアルバムを聴けばそれがわかるはず。あとは僕らだけだ。

  

 

 

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