赤い公園『消えない - EP』

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拡がれ

 

 

 東京都出身の4人組バンドによる、2年2ヶ月ぶりのフィジカルリリース作品。


 〈こんなところで消えない 消さない〉。表題曲でのパンチラインに文脈を感じてしまいます。アートワークの真ん中に据えられているのは、前Vo. 佐藤千明が参加した最後の作品『熱唱サマー』1曲目のタイトルと同じカメレオン。しかし〈あんたをいくらでもくれてやれ〉と言い放ったあの頃とは異なり、今作のカメレオンは生まれたばかりのアイデンティティをかき消されてなるものか!という気概を表すかの如く周囲に同化しないまま佇んでいます。
 新Vo. 石野理子の丸みを帯びた、しかし輪郭のはっきりしたヴォーカルに引っ張られるかのように、サウンドにも空間の広がりが伺えます。具体的には、リズムやベースを強調する楽曲が増えたような。ファンク色が濃い表題曲をはじめ、規則的な単音の連続が心地良いM2、テン年代前半のエレクトロポップとJ Dilla的なビートが邂逅したM5。いずれも以前には見られなかったように思います。今の彼女たちには鋭さでなく大らかさがあって、その大らかな輪が大きくなっていく様を(その輪の外側からでもいいから)見ていたいと思わせる、素晴らしいはじめの一歩でした。